わがやの奮闘記エピソード001

とっても可愛い! でも、めっちゃしんどい!

委託当時、小2 と年長の姉妹を養育里親としてお引き受けした。明るく素直な面を持ち合わせた女の子たちだが、ネグレクトのもとで生活習慣がとても乱れた状態であった。

わが家では、まずは家族団らんで楽しい食卓を提供してあげたいと考えた。ところが思いのほか、食事に手をつけてくれない。好き嫌いがはげしくて、私の味付けが気に入らなかったようだ。味の濃いものを欲して、醤油をつぎ足すようなことも度々あった。これには心が折れてしまい、毎回の食卓が〝家族団らん〟どころか、私には不愉快でたまらない時間になってしまったのだ。

彼女たちのこれまでの食事といえば、夜遅く買ってきたお弁当。朝食抜きで学校に行ってそこでの給食。学校が休みの日はそれさえもかなわない。そんな状況だったから、出されたものは何でも食べてくれるかと思いきや、そうではなかった。子どもが好きそうなハンバーグや唐揚げに餃子、お肉中心のメニュー。喜ぶかなと思って作った茶碗蒸しなども手をつけない。そんな状況が続いたのだ。

私は、どちらかといえば料理は得意だ。大勢に振る舞う機会もあり美味しいと言って喜んで頂いてきた。でも、そんなプライドも打ち砕かれ、やがて、考えを変えて彼女たちに歩み寄るように心がけた。

ある日、遠足で食べた「お弁当がスッゴク美味しかった」という嬉しい声が、帰宅した娘たちから聞けた。ならばと、時々夕食をお弁当箱に詰めてみたり、週に1 回はスーパーに行って、各自食べたいものを選ばせたり、また、下の娘こは小食なので小さめの食器に盛り付けてみたりと工夫をしてみた。

2 年が経過した頃から、お姉ちゃんは大きな口で何でもよく食べるようになり、冷蔵庫の在庫一掃メニューでも「美味しい」と言ってくれる。妹には、夫が「孤独のグルメ」のTV を見せて、美味しそうに食べてるねぇ~と、食育っぽいことをやってくれている。また、お姉ちゃんは厚焼き玉子、妹は赤だしのみそ汁の達人を目指して、料理に挑戦している。

そんな出来事を経て、少し平安な3 年目を迎えている今日この頃である。まだ、課題山積だが、生きて行くにはまず「食べること」なのだと感慨深く思っている。(上州の里母)

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