都市部では運転免許離れ、免許を保有しない若者が増加していると言われて久しい。実際、娘(現大4)が高校3 年の時、みんな自動車教習所に通っているので〝私も〟と言ってきた。まだ高校生だしとも思ったが、〝みんなが〟という言葉に負け、当時でも、教習費が28万円近く掛かった。ところが関西の私鉄沿線の大学に進学すると、ほとんどの子が未取得。群馬県ではまだまだ車社会で、運転免許が不可欠。
そこで今回は、里子の運転免許取得について 〝知っとこ!〟
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我が家での運転免許取得の実体験を紹介しよう。今年20 歳になる娘が高校3年時だ。里親の会事務局から「里子の運転免許取得助成事業の対象になる」との知らせを受けた。内容は高校3年生等を対象に里子の自動車運転免許取得に対して1人あたり15 万円(上限)を助成するとのことだった。これは社会福祉法人群馬県共同募金会の共同募金による、「児童養護施設入所児童等の普通自動車免許取得支援事業」で、その配分を事務局が担っている。併せて「上毛新聞愛の募金」からも5 万円の助成があるとのこと、下記別表の費用を考えると非常にありがたいことだった。
同じころ前橋市の子育て支援課より「高校3年生の里子さんはいますか」とのお尋ねがあった。平成29年度より施設等から社会へ出る児童への自立や活動等を支援する「タイガーマスク運動」をきっかけに始まり、前橋市のふるさと納税を活用した、「タイガーマスク運動支援プロジェクト」の案内を受けた。
前記の共同募金及び上毛新聞愛の募金等からの助成不足分について、提携の前橋の自動車教習所と協働での支援であった。
その後、娘は大学入試も終わり進路も決まったので教習所に予約を入れた。助成金は取得後になるので先に20 万円を入金、本人も頑張って追加教習や再検定再試験もなく免許証を取得でき、娘共々心より喜んでいる。
資金援助のない自治体もある中、群馬県では群馬県共同募金会より助成があり、上毛新聞愛の募金もある。不足分は児童手当などで補うかアルバイトをさせるか親としても何とか捻出すべきところを、娘は前橋市からも官民連携の支援を受けられて本当に助かった。前橋市以外の市町村でも、全く負担なく運転免許を取得できれば良いと願っている。
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「タイガーマスク運動」の先駆者・河村正剛氏に前橋市の「タイガーマスク運動支援プロジェクト」に取り組んだ理由と経緯についてうかがった。
社会的養護児童の支援に取り組む中、措置中よりも自立後の不安を訴える現場の声を多く聞きました。措置解除になると公費では対応ができなくなるので、自立時の支援を手厚くし自立後の不安を少しでも減らしたいということでした。
しかし、実際に自立時の支援をするとなると個人の財力では限界があります。単年ではなく継続支援であれば団体でも難しいでしょう。それで行政で制度を作ることを考えました。
2016 年12 月、僕は後楽園ホールのリング上で素性を明かしました。それを見た前橋市の山本龍市長がお問い合わせくださり市役所内で意見交換を重ね、タイガーマスク運動支援事業が始まりました。
「タイガーマスク運動」活動家 河村正剛